「過視は不可視か」 西澤諭志展

終了しました。ご来場してくださった皆さん、そして展示に協力してくれた皆さん、本当にありがとうございました。
*展示の記録として、A5サイズ8ページ(表紙含む)のリーフレットを制作しました。ギャラリーにもおいてありますが、欲しい方は私か、ギャラリーにご連絡ください。郵送承ります。


■ 開催日時 
2009年10月31日(土) - 12月12日(土) 営業時間12:00 - 19:00、日月祝日休廊

■ オープニングパーティー
2009年10月 31 日(土) 18:00 - 20:00
       
■ 会場
SANAGI FINE ARTS / サナギファインアーツ
東京都中央区日本橋茅場町2-13-8 第一大倉ビル1F
  tel&fax:03-5640-6882
  mail:info@sanagijima.com
  url:http://sanagijima.com/

カメラや写真を使って制作しているからには、私には、自分の見たものに対して、知りたい事やわからない事があるのだろう。ただ画像をみること自体が目的ではないのだから、私には、カメラを持たずに、ただ立ち止まって肉眼で見る、という選択肢も、常に残されている。この選択の余地の分だけ、私の写真はズレている。

この時、実は、「写真か肉眼か」という選択問題ではなくて、「写真と肉眼の、二つの間にできた距離を計測せよ」という計算問題が提示されている事に気付かなければいけない。この距離を計算するには、「写真」「肉眼」、どち
らも単なる「x」「y」、という記号に過ぎない。二者択一で迷っているうちは、「x≒y」程度の情報しか導きだせないままだ。だから「z」あるいは、「+」「−」「×」「÷」が必要になる。ただ、この計算の難易度を、私は知らない。

ひとまず写真は増え続けていくだろうし、その度に距離を計測し直すのだろう。
結局、答えが、写真の中に写ったりする事はない。
― 西澤諭志 ―

inaxギャラリーで発表した作品から7点と、新作3点、あわせて10点ほど展示する予定です。新作はデジタルカメラによって撮影しました。このブログにアップしたいくつかの写真を手がかりに制作したものです。新作は、人によっては、「絶/景」と全然違って見える作品かもしれない。
自分がずっと気になっている場所や状況が、どのように見えているのか、何がそのような効果を与えているのか、ということを知る手がかりの一つとして写真やカメラを使っているのかな、と思う。とりあえず今のところは。だから、例えば森山大道のように、このような写真が自分は見たい、という強い欲望には抗したい、という気持ちがある。(実際、強く引っ張られる自分がいるから)むしろカメラを持たずに、ものを見る時の方が重要だと思う。カメラを持たずに見た時のそれと、写真となったそれがどう違い、どこが重なって見えるか、検証していく。肉眼で恣意性を取り除いて見る事はできないし、写真に完璧な真実は写らない。だから、どちらも恣意的なものだ、と最初から割り切って検証していく。万に一つのそうでない可能性、というものにすがらない。結局、全てを疑いつつ想像することでしか、それに触れない。とか、そういうきりのないことになっていくけれども。